これまで大勢の方々がマットの上で練習をする姿を見守りながら、私の心に深く刻まれたのは、誰がどんなに素晴らしい動きやポーズをしているかではなく、それぞれが自身の旅路を歩むかのように、ときに落胆し、途方に暮れ、ガムシャラになり、諦めては、また果敢にも壁に立ち向かい、そして崩れ落ち、自信を失い、周囲に嫉妬し、自己嫌悪や焦りと戦っては、疲れ果て、何度も投げ出そうと思いながらも、またマットの上に、不安な子供の気持ちで立つ、その姿でした。
アシュタンガヨガのマイソールクラスでは、誰もが等しく「できない」ポーズや動きにチャレンジしていく側面があります。どのシリーズを練習していても、どれだけ練習を続けていても、最後は必ず「不可能なポーズや動きに取り組む」ことを余儀なくされ、そしてそこでは、とても居心地のわるい状態に留まる「こころの強さ」が必要となってきます。
「できないからやらない」ではなく、「できたかのように」誤魔化すのでもなく、「無理やりやろう」と暴力的になるのでもなく、できないことに「どのように向き合うか」が、このアシュタンガヨガの練習の肝なのではないでしょうか。
得意なことを、自信満々に、デモンストレーションするように行う動きやポーズは、それを行う本人にとっては「心地よい」ものですが、マイソールクラス指導者のほとんどは、そのようなパフォーマンスには興味がありません。むしろ、そこへ費やすエネルギーを、不得手で心が折れるような居心地の悪い場所でこそ有効に使えるよう導くことを、指導者は大切にしているはずです。
できなかったことができた!ということよりも、できないことへチャレンジしつづける姿そのもの、それこそが、マイソールクラスの指導者にとって、最も心動かされる核心の部分であり、アシュタンガヨガを伝える・指導する原動力なのだと思います。
私はアナタが、どんなにカッコよくハンドスタンドをするかには興味がありません
私が知りたいのは、アナタがカポータサナへの恐怖と立ち向かう勇気があるのかどうかです
私はアナタが、どんなにやわらかにカポターサナをするかには興味がありません
私が知りたいのは、アナタがハンドスタンドへの恐怖と立ち向かう勇気があるのかどうかです
なんてことを心の中でつぶやきながら、とある有名な詩を思い出しました。原文は英語なので簡単に日本語訳をつけました。
この詩を読むたびに、いつでも本質を見つめる瞳を忘れないでいたいな、と思います。
byゆみこ
The Invitation
by Oriah Mountain Dreamer
It doesn’t interest me what you do for a living.
I want to know what you ache for
and if you dare to dream of meeting your heart’s longing.
あなたがどんな仕事をしているのかには興味がない
わたしが知りたいのは、あなたが心から望んでいるものは何か
そして夢を希求する勇気が、あなたにはあるのか、ということ
It doesn’t interest me how old you are.
I want to know if you will risk looking like a fool
for love
for your dream
for the adventure of being alive.
あなたの年齢には興味はない
わたしが知りたいのは、あなたが
愛のために、夢のために、冒険のために
愚か者となる覚悟があるかどうか、ということ
It doesn’t interest me what planets are squaring your moon...
I want to know if you have touched the centre of your own sorrow
if you have been opened by life’s betrayals
or have become shrivelled and closed
from fear of further pain.
あなたの星座や運勢には興味がない
わたしが知りたいのは、あなたが
自分の悲しみの核心に触れたことがあるのか
人生の裏切りによって剥き出しにされたことがあるのか
もしくは更なる苦痛への恐れに怯え
心を閉ざしてしまったことがあるのか、ということ
I want to know if you can sit with pain
mine or your own
without moving to hide it
or fade it
or fix it.
あなたが、自分の苦痛や、わたしの苦痛を
隠したり、誤魔化したり、取り繕ったすることなしに
共にあり対峙できるかどうかを、わたしは知りたい
I want to know if you can be with joy
mine or your own
if you can dance with wildness
and let the ecstasy fill you to the tips of your fingers and toes
without cautioning us
to be careful
to be realistic
to remember the limitations of being human.
あなたが、自分の喜びや、わたしの喜びと共にいられるか
慎重になるよう、現実的になるよう
そんな節度を促す警告することなしに
ワイルドになって踊り
指の先まで歓喜で満たせるかどうかを
わたしは知りたい
It doesn’t interest me if the story you are telling me
is true.
I want to know if you can
disappoint another
to be true to yourself.
If you can bear the accusation of betrayal
and not betray your own soul.
If you can be faithless
and therefore trustworthy.
あなたの話が真実かどうかには興味がない
わたしが知りたいのは、あなたがあなた自身であるために
他の誰かを失望させることができるのか
裏切り者と非難されても、自分の魂を裏切らずにいられるか
信頼のために不誠実になれるかどうか、ということ
I want to know if you can see Beauty
even when it is not pretty
every day.
And if you can source your own life
from its presence.
常に美しいわけではない物事の中に
あなたは美を見いだすことができるかどうか
そしてその存在を
あなたの人生の源泉とすることができるのかを
わたしは知りたい
I want to know if you can live with failure
yours and mine
and still stand at the edge of the lake
and shout to the silver of the full moon,
“Yes.”
あなたが、自分の失敗や、わたしの失敗と共に生きていけるかどうか
それでもなお、湖のほとりに立ち、銀色の満月に向かって
「YES」
と叫べるかどうかを、わたしは知りたい
It doesn’t interest me
to know where you live or how much money you have.
I want to know if you can get up
after the night of grief and despair
weary and bruised to the bone
and do what needs to be done
to feed the children.
あなたがどこに住み、いくら稼ぐのかには、興味がない
わたしが知りたいのは
悲しみと絶望で骨の髄まで傷つき
疲労困憊の夜を過ごした後に
それでも翌朝には起き上がり
家族を養うためにすべきことを行うことができるかどうか、ということ
It doesn’t interest me who you know
or how you came to be here.
I want to know if you will stand
in the centre of the fire
with me
and not shrink back.
あなたが誰を知っているか、どうやってここまで来たかには、興味がない
わたしが知りたいのは、わたしと一緒に火の中に入り
ひるむことなく立ち続けていられるかどうか、ということ
It doesn’t interest me where or what or with whom
you have studied.
I want to know what sustains you
from the inside
when all else falls away.
あなたがどこで、なにを、誰から学んだかには、興味がない
わたしが知りたいのは、全てが崩壊した後に
あなたを内側から支えるものは何なのか、ということ
I want to know if you can be alone
with yourself
and if you truly like the company you keep
in the empty moments.
あなたは自分ひとりだけでいることができるのか
共にいる相手としての自分自身を
あなたは心から楽しめるかどうかを
わたしは知りたい
初めまして。私もアシュタンガヨガを練習しています。とても心に染みる詩ですね。そしてとても共感できます。
返信削除